AOC中級程度の実力派 赤ワイン

このドメーヌは偉大な散文詩人フロリアン(1755?1794)が創設したことに由来する。地中海の都市モンペリエから内陸へ50kmほどの高原にある。夏は太陽が強く熱いが、乾燥していて一日の温度差が15℃もある。ブドウの糖熟がスムーズで酸分が保たれる好適地。　残念ながらこの地は、AOCワインの指定域から離れているので、単なるヴァン・ド・ベイ(地ワイン)に等級つけられている。だが実力は高く、AOCの中級程度に評価されている。　当主リコ氏はボルドーのシャトー・ペトリュスで醸造を担当していただけに、ボルドーの高級ワイタイプの方向に沿って仕込んでいる。例えば皮浸漬発酵は3?4週間と、ラングドッグとしては異例に長い。氏によると、長期にすることにより色素が落着き、ある種のうま味成分がワインに生ずるからだという。イチジクを割いた時の芳香にカシスや赤唐芥子の風味。タンニンが南仏とは思えぬほど落着いてなめらか。ゆったりとして味あわせる日常消費ワインである。